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大学改革 2014 4 27

書名 笑うに笑えない大学の惨状
著者 安田 賢治  祥伝社新書

 少子化で若者が減り続けているのに、
大学の数を増やし続けた結果、どうなったか。
 よく言われるのが、大学進学の希望者は、
大学を選ばなければ、
全員が入学できるようになったということですが、
現状は、もっと悲惨な状況にあります。
 この本にあるように、
「名前を書けば、誰でも大学に入学できる」、
「大学で、小学校の算数を教えてくれる」、
「大学を出たところで、高卒の仕事」、
「定員割れの私立大学は47%」という状態です。
 もちろん、規制緩和によって、
新規参入が簡単になったのは正しいことですが、
「退場ルール」を作っておかないと、
このような悲惨な状況になります。
 さらに、この本を読み進んでいくと、
もっと恐ろしいことが書いてあります。
「入学願書を生徒自らが書いたら、合格」
 今は、願書を実際に記入しているのは、
大半が母親なのだ。
 だから、願書を記入にするに当たって、
不明な点は、母親が大学に電話して聞いてくる。
 そういうわけで、中堅クラスの大学の入学担当者は、
「生徒が電話で願書の書き方を問い合わせてきて、
しっかり受け答えできたら、
それだけで合格にしてもいいぐらいだ」と言う。
真顔で「母親対象の願書の書き方講座があればいいのに」と言う大学の職員もいるほどだ。
(引用、以上)
 まるで大学受験が高校受験のようになっているような感じです。
さすがに中学生には、高校の願書を書くのは、難しいでしょう。
 しかし、大学を目指す者は、自ら願書を書くべきでしょう。
なにしろ、大学というものは、最高学府だからです。
 実は、この本を書評で取り上げるべきか、
半年近くも悩んでいたのです。
 このような本が外国人に知られてしまうと、
日本の大学は「日本の恥」だと、わかってしまうからです。
 さて、こうした現状を企業の採用担当者は、どう考えているのか。
私は、大学を増やすよりも、「高専」を増やすべきだったと思っています。
高専とは、高等専門学校のことです。
 なぜ、高専は人気化しないのでしょうか。
一概には言えませんが、大学卒業よりも、高専のほうが就職に有利だと思います。

大学デフレ 2014 3 1
 「大学デフレ」とは、
大学の高額な学費がデフレを引き起こしているという意味です。
 日本のデフレの原因は、諸説ありますが、
なぜか大学の高額な学費を指摘する人がいないので、
不思議に思っていたところです。
 日本の大学進学率は、50%を超えています。
つまり、高校生の二人に一人が大学に進学する時代です。
 たとえば、私立大学の文科系に進学した場合、
いったい、いくらかかるか、知っていますか。
 4年間で、およそ400万円前後かかります。
これは、入学金や、4年間の授業料と施設設備費の合計です。
 はっきり言って、庶民の家庭にとって、
400万円という金額は、かなり厳しいと言えるでしょう。
理科系の大学の場合は、さらに高額となるでしょう。
 だからこそ、庶民の家庭では、節約に次ぐ節約という状態で、
その結果、これがデフレを引き起こすでしょう。
 もし、子供が2人とも私立大学の文科系に進学すると、
800万円もかかることになり、
住宅ローンをかかえる家庭では、深刻な問題を引き起こすでしょう。
 仮に、奨学金で学費を調達しても、
卒業後は、若者にとっては巨額の借金を抱えることになり、
これもまた深刻な問題を引き起こすと思います。
 こうした問題をなぜ指摘しないのかと思っていたら、
知人によると、マスコミ関係者にとって、
大学は、貴重な天下り先だという。
だから、マスコミ関係者は、あまり大学を批判しないのではないかと。
 ところで、このサイトは、いったい何のサイトだと思いますか。
ニュースサイト、あるいは一種のマスコミではないかと思うかもしれません。
 しかし、それは、全く違います。
実は、このサイトは、一種の「大学」です。
「学びたいけれど、お金がない」
そういう人のために運営しているのが、このサイトです。
 私が子供の頃は、
お金がなくて、大学に行くことができなかった人が多いのです。
 昔は、優秀なのに、家が貧しいので、
商業高校や工業高校に進学して、家業を継ぐという人が多数いました。
 そんな厳しい現状を見て、
私は、せっかく東京の難関大学に合格しても、
晴れやか気分になることはできませんでした。
 「格安大学」というものはできないのでしょうか。
昔は、航空料金が高額で、庶民にとっては、
飛行機を使って旅行など、高嶺の花でした。
 しかし、今は、格安航空会社の出現で、
庶民も気楽に「空の旅」を楽しむことができるようになりました。
 航空会社でも経営努力の結果、可能となったのですから、
大学だって、「格安大学」を作ることができるはずです。

格安大学 2011 10 30
 2011年10月30日の日本経済新聞Web版には、このような記事がありました。
「アメリカの大学で学費高騰、揺らぐ若者の学歴信仰」
 学費が物価を上回るペースで急騰する一方、
高失業率が長引き卒業後の就職難も深刻なためだ。
 人種問題が根深い米国では、
客観指標として学歴を重視する傾向が強い。
 学費高騰の背景にあるのが、大学の財政事情の悪化だ。
教職員への福利厚生費など人件費の膨張が止まらない。
勢い、安定収入を見込める授業料への依存度が高まっている。
(以上、引用)
 そのほかの原因として、投資の失敗もあるでしょう。
実は、大学も、資産運用で投資をしているのです。
こうした投資の失敗は、日本の大学でも、大きなニュースとなりました。
 庶民は、「経済学部があるのに、何事か」と驚いたことでしょうが、
一般的に言って、大学の経済学部の授業は、「時代遅れ」が定番です。
 そういうわけで、最近の金融技術にはついていけません。
ましてや最新の金融商品は、高度な金融工学で設計されていますので、
大学の教授でも理解不能でしょう。
 にもかかわらず、ウォール街にあった、
怪しげな金融商品製造工場で製造された、
金融商品に手を出した結果、投資の失敗となったかもしれません。
(当時は、サブプライム問題、
あるいはサブプライム危機として大きなニュースとなりました)
 話がそれましたが、
昔は、飛行機で旅行というと、金持ちの特権でしたが、
今は、格安航空会社の出現によって、
庶民でも気楽に飛行機で旅行ができるようになりました。
 同じ理屈で、授業料が高額な大学は、金持ち専用として、
庶民のために、格安大学を設立すべきでしょう。
 私が子供の頃、私よりも優秀だったのに、
経済的な理由で大学進学をあきらめた人が多かったのです。
 これは、社会にとって、大きな損失でした。
貧困の中で消えていった才能たち。